
専門性の高い公務員になりたい。

それなら、専門職の国家公務員が向いていますね。もし簿記や企業会計が好きで興味があるならば国税専門官一択です。
簿記2級に合格し、株式投資も勉強している元県庁職員として公務員について詳しいぼくが記事を書きます。
公務員の中でも高い専門性をもつ国税専門官について記事にしていきたいと思います。将来スペシャリストとして働きたい、特に企業会計や簿記、法人に興味がある人に向けてこの記事を書いていきたいと思います。
Contents
どのような公務員になりたいか
スペシャリストになりたいなら専門職の国家公務員一択です。公務員受験する前に自分が将来どのようになりたいかよく考えておくことが重要です。もしスペシャリストになりたいならば、地方公務員はおすすめできません。
なぜこのようなことを言うのかといえば、自分の場合スペシャリストを志望して地方公務員になったはいいが、全く異なる分野の異動ばかりで専門性が身につかず絶望したからです。
地方公務員の場合はスペシャリストになれない組織構造になっています。様々な部署を経験させてゼネラリストにしたいという意思があるのです。
公務員試験はスペシャリスト、ゼネラリスト志望かで受験先を決めるのがいいと思います。ただ、地方公務員には国家公務員にある全国転勤はありませんので、その点はいいかもしれません。
国税専門官では法人課税部門がおすすめ
簿記や企業会計に興味があるなら国税専門官は最高の仕事となるでしょう。法人部門に配属されれば普段CMや広告でみる大法人に調査に行くこともできますよ。
国税庁の法人部門に配属されるためにも簿記取得や企業会計の勉強をしておきましょう。
簿記の勉強ならオンラインのスタディングがおすすめですよ。
分厚いテキスト不要で費用も抑えつつ学ぶことができます。
国税専門官の研修は充実している
国税庁には充実した研修制度により高度な知識やスキルを身に付けられる環境があります。
入庁後1年大学校で研修があるなんて、他の公務員では考えられません。公務員の研修は長くて1ヵ月以内が一般的です。
税務大学校における1年研修の内容
国税庁は新規採用者を対象として全寮制で実施しています。
税法科目や簿記会計学はもちろん、民法、商法・会社法及び経済学等の法律・経済科目等などにより編成しています。
しかも、1年間のうち最後の3か月については、確定申告期に税務署において実地研修を行うなど実践的なカリキュラムも実施しています。
国税専門官の研修カリキュラム
1年で学ぶことができるカリキュラムを見てください!普通の公務員ではこんなに充実した研修を受けることはできません。
職員の専門性を高めようとする意志がみえますね。ゼネラリストよりスペシャリストになりたい人はおすすめです。
科目 | 時間数 | ||
---|---|---|---|
専門科目 | 税法科目 | 税法入門 | 12 |
国税通則法 | 36 | ||
所得税法 | 66 | ||
相続税法 | 45 | ||
法人税法 | 63 | ||
消費税法 | 45 | ||
酒税法 | 9 | ||
その他の間接税法 | 9 | ||
国税徴収法 | 42 | ||
専攻税法 | 57 | ||
計 | 384 | ||
実務科目 | 実務講義 | 126.5 | |
実地研修 | 126 | ||
計 | 252.5 | ||
会計科目 | 簿記会計学 | 141 | |
計 | 141 | ||
その他の科目 | 班別活動 | 124 | |
公務員法 | 21 | ||
特別講義 | 24 | ||
計 | 169 | ||
一般科目 | 法律・経済科目等 | 法学入門 | 15 |
憲法 | 30 | ||
民法 | 148.5 | ||
商法・会社法 | 93 | ||
刑法 | 18 | ||
経済学 | 30 | ||
一般教養 | 27 | ||
計 | 361.5 | ||
その他の科目 | 特別講義 | 12 | |
計 | 12 | ||
行事・その他 | 36 | ||
合計 | 1,356 |
(国税庁HPより抜粋)
国税専門官の仕事
個人課税部門
所得税や個人事業者の消費税等
資産課税
相続税、贈与税、譲渡所得・山林所得に係る所得税及び登録免許税等
法人課税部門
法人税、地方法人税、法人に係る消費税及び源泉所得税等
徴収部
国税債権・債務の管理事務や滞納国税の徴収事務
査察部
経済取引の中枢を占める大法人を調査するとともに、悪質な脱税者を摘発し、検察当局に告発する事務
国税庁のキャリア
このように国税庁の仕事には様々な分野があります。国税庁の友人曰く、一度ある分野に配属されると継続してその分野で勤務することになるそうです。なので専門性は非常に高い職種となるのですね。
一方、自分の希望しない部署だと悲惨なことになりそうです。自分が行きたい分野の資格取得するなど努力して面接でアピールしましょう。
国税専門官になるには
大学卒21歳~30歳で採用試験に合格することが必要。試験科目は基礎能力試験、専門試験、記述試験からなります。
専門試験は民法、商法、会計学が必須となっているし、記述もあるので対策に十分な時間が必要です。
国税専門官の倍率
2019年度の合格倍率は約24%でした。難関試験なのでしっかりと対策しないと合格は難しいでしょう。
(参考データ)
2018年度 | 2017年度 |
21% | 20% |
最終合格率は安定して20%台のようです。ここから辞退者等もいるので内定者はもっと少なくなります。
ちなみに採用予定数は1200名でした。
国税専門官におすすめな予備校
国税専門官の最終合格者数は3,514名でした。
そのうちTACでは655名が合格していますので、TACでの対策は間違いありません。
その他の予備校では国税専門官の合格者を公表していませんが、パンフレットにはのっていますので、合格者は一定程度いるようですが、国税専門官の試験は記述式と面接がそれぞれ2/9ずつの配点となっており、大手予備校でしっかりと対策することをおすすめします。
合格実績が載っているTACが一番ですが、大手予備校のLEC、伊藤塾などの入校を検討してみてもいいでしょう。
国税専門官の給料について
国税専門官の初任給:208,800円
参考給料 | |
給与 | 208,800円 |
家賃手当 | 28,000円(最大) |
地域手当 | 41,760円(東京特別区の場合) |
※諸手当は国家公務員の手当概要に詳しく記載されています。
国税専門官の俸給
人事院勧告の号給表に記載されています。また、国税庁の募集要項にどの号給から始まるか確認できます。国税専門官の俸給は1級22号からスタートのようです。
知り合いの国税専門官のはなし
その方(Aさん)はとても几帳面な方で、法人部門を歩みマルサにもいた実力。そんな方が良く話してくれる国税専門官の生の情報を少しご紹介します。
国税専門官のやりがい
Aさんがやりがいを感じたのは大法人の調査で脱税を見抜く瞬間だそうです。様々な資料や情報から矛盾等を洗い出し、質疑しながら矛盾をあぶりだし、脱税を見つけたときはやりがいを感じたそう。
また、仕事は厳しくとも様々な大法人を調査に行けることが興味深かったと。
ぼくも企業会計には興味をもっていたので、もし人生やり直せるなら国税専門官やってみたいなとおもいます。
元々専門性の高い職種、簿記や企業会計に興味があったので自分に向いているかなと思いますが、国税専門官という仕事を知ったのが県職員として県税事務所で勤務していた時だったので、遅かったです。
公務員に興味がある方で、簿記や企業会計が好き、専門性の高い職種を志望するならばぜひ国税専門官の受験を検討してみてください。
国税専門官の出世コース
国税庁の出世は総合試験合格者がほとんどなので、国税専門官の仕事を純粋に楽しめる方が志望したほうがいいですね。
国税庁には総合職試験の合格者で財務省から出向している財務省キャリア、国税庁に採用となった国税庁キャリア、そして、国税専門官試験(大卒)と税務職員試験(高卒)で各地の国税局に採用となったノンキャリアがいます。
そして国税庁や国税局で幹部になれるのはほとんどがキャリア組です。完全なる縦社会から成り立っています。出世したいならキャリアの試験をパスするしかないようです。
Aさんはノンキャリアから国税庁の出世コースにのっていたようですが途中で脱落したそうです。
国税専門官の出世については東洋経済新報社の記事詳しく書いています。
国税専門官は税理士になれる
勤続23年でなんと税理士の資格がとれます。勤続23年だと45歳くらいでしょう。ここから第二の人生、税理士として事務所を開業するのもありですね。
Aさんも税理士資格を取得したようですが、開業はしなかったようです。65歳の定年まで勤めたので蓄えも十分にあり、そこまで忙しくすることもないということなのでしょう。
ぼくも県税事務所で勤務していた時は国税専門官から税理士になった方と仕事をしたことがありますが、優秀な方はすごく優秀な一方で、なんでも聞いてくる困った税理士がいたのが実態でした。
国税専門官は激務?
国税庁や局での仕事なら残業は必須ですね。一方、税務署勤務なら定型的な業務が多いのでそんなに残業もありません。
本庁や局ではストレス耐性をみるというのが大きな組織のやり方です。
Aさんも30~40代の脂ののった時期には継続して深夜まで残業していたそうです。
地方公務員は基本ゼネラリスト
地方公務員は基本的に専門性が低いと考えてよいでしょう。キャリアについても全く異なる分野に異動させられることがほとんどです。
これは定期的な人事異動により癒着を防ぐということと、ゼネラリストの育成を重視した結果のようです。
そのため40代50代になっても専門性の乏しい人材が多い印象でしたね。地方公務員には解雇がないのでキャリアアップや専門性がなくても生きていけるので問題はありませんが、仕事のモチベーションを保つのは難しいのではないでしょうか。